今さらに妹に逢はめやと思へかも
ここだ我が胸いぶせくあるらむ
- 歌の意味
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今さらあの人に逢えるだろうか、いや逢えないと思うからだろうか、こんなにも私の胸が晴れずにふさいでいるのは。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 611
詞書「大伴宿祢家持の和ふる歌二首」
笠女郎の二十四首に答えた家持の二首の最初の歌である。今さら逢うことはできまいと思うからか、胸がふさいで晴れないと詠む。笠女郎の熱い歌の数々に対し、家持の答えは短く、すでに気持ちの離れていることをうかがわせる。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。
初句「今さらに」は、今となってはの意である。
二句「妹に逢はめやと」は六音の字余りで、「め」は推量、「や」は反語であり、逢えるだろうか、いや逢えないとの意となる。
三句「思へかも」は已然形に「かも」がついた疑問の条件で、思うからだろうかの意となる。結びは結句の「らむ」である。
四句「ここだ我が胸」の「ここだ」はこんなにもの意で、私の胸がの意となる。
結句「いぶせくあるらむ」の「いぶせし」は心が晴れない、気がふさぐの意で、「らむ」の連体形で結ぶ。
むね:胸。心のうち
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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近くあれば見ねどもあるをいや遠く 君がいまさば有りかつましじ
- 次の歌
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なかなかに黙もあらましを何すとか 相見そめけむ遂げざらまくに