もの思ふと人に見えじとなまじひに
常に思へりありぞかねつる
- 歌の意味
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物思いをしていると人に見られまいと、無理をしていつも平気なふりをしていたが、とてもそうしてはいられなくなった。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 613
詞書「山口女王の大伴宿祢家持に贈る歌五首」
山口女王が大伴家持に贈った五首の最初の歌である。恋に悩んでいると人に悟られまいと、無理に平静を装ってきたが、もう耐えられなくなったと詠む。秘めた恋を隠しきれなくなった苦しさを告白している。
作者の山口女王は、伝未詳の女性である。大伴家持と恋の歌を交わした女性の一人とみられる。
初句「もの思ふと」は、物思いをしているとの意である。
二句「人に見えじと」の「じ」は打消意志で、人に見られまいとの意となる。
三句「なまじひに」は、無理に、しいての意である。
四句「常に思へり」は、いつも平気な様子をしていたの意と解されるが、語義には諸説がある。
結句「ありぞかねつる」の「かぬ」はできないの意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「つる」で結び、そうしてはいられなくなったの意となる。
ものもふ:物思いをする、思い悩む
- 作者
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山口女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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なかなかに黙もあらましを何すとか 相見そめけむ遂げざらまくに
- 次の歌
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相思はぬ人をやもとな白栲の 袖漬つまでに音のみし泣くも