相思はぬ人をやもとな白栲の
袖漬つまでに音のみし泣くも
- 歌の意味
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私を思ってくれない人のことを、わけもなく、白い袖が濡れるほどに声をあげて泣いて慕うことだ。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 614
詞書は前の歌に続き「山口女王の大伴宿祢家持に贈る歌五首」
思ってくれない人のために、白い袖がぐっしょり濡れるほど泣いていると詠む歌である。本巻の第六百八首の笠女郎の歌と同じく「相思はぬ人」と歌い出しており、報われない恋の嘆きが、作者の異なる歌の間で響き合っている。
作者の山口女王は、伝未詳の女性である。大伴家持と恋の歌を交わした女性の一人とみられる。
初句「相思はぬ」は六音の字余りで、互いに思い合わないの意である。第六百八首と同じ歌い出しである。
二句「人をやもとな」の「や」は疑問の係助詞で結びは結句、「もとな」はわけもなく、むやみにの意である。
三句「白栲の」は「袖」にかかる枕詞である。
四句「袖漬つまでに」の「漬つ」は濡れるの意で、袖が濡れるほどにの意となる。
結句「音のみし泣くも」は、声をあげて泣くばかりだの意で、「も」は詠嘆である。
ひつ:水に濡れる、浸る
- 作者
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山口女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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もの思ふと人に見えじとなまじひに 常に思へりありぞかねつる
- 次の歌
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我が背子は相思はずとも敷栲の 君が枕は夢に見えこそ