我が背子は相思はずとも敷栲の
君が枕は夢に見えこそ
- 歌の意味
-
あなたが私を思ってくれなくても、せめてあなたの枕だけは夢に見えてほしい。
- 鑑賞
-
巻第四 相聞 615
詞書は前の歌に続き「山口女王の大伴宿祢家持に贈る歌五首」
相手が思ってくれなくても、せめて相手の枕だけでも夢に見えてほしいと願う歌である。夢に見えるのは相手が思ってくれるしるしとされた当時の考え方をふまえ、相手の思いがなくても枕だけは見たいという、切なくもいじらしい願いを表している。
作者の山口女王は、伝未詳の女性である。大伴家持と恋の歌を交わした女性の一人とみられる。
初句「我が背子は」は、あなたはと恋人に呼びかける言葉である。
二句「相思はずとも」の「とも」は逆接の仮定を表し、思ってくれなくてもの意となる。
三句「敷栲の」は「枕」にかかる枕詞である。
四句「君が枕は」は、あなたの枕はの意である。
結句「夢に見えこそ」の「こそ」は願望の終助詞で、夢に見えてほしいの意となる。
まくら:枕
- 作者
-
山口女王
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
相思はぬ人をやもとな白栲の 袖漬つまでに音のみし泣くも
- 次の歌
-
剣太刀名の惜しけくも我れはなし 君に逢はずて年の経ぬれば