葦辺より満ち来る潮のいや増しに
思へか君が忘れかねつる
- 歌の意味
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葦の生える岸辺から満ちてくる潮のように、ますます思いがつのるからだろうか、あなたのことが忘れられない。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 617
詞書は前の歌に続き「山口女王の大伴宿祢家持に贈る歌五首」
五首の最後の歌で、葦辺に満ちてくる潮を序として、思いがますますつのるからか、あなたを忘れられないと詠む。満ちてくる潮の勢いに、抑えようもなく高まる恋心を重ねている。
作者の山口女王は、伝未詳の女性である。大伴家持と恋の歌を交わした女性の一人とみられる。
初句「葦辺より」は、葦の生える水辺からの意である。
二句「満ち来る潮の」は、満ちてくる潮のの意で、初句と合わせて三句の「いや増し」を導く序詞となる。
三句「いや増しに」は、ますます増しての意である。
四句「思へか君が」の「思へか」は已然形に「か」がついた疑問の条件で、思うからだろうかの意となる。結びは結句の「つる」である。
結句「忘れかねつる」は、忘れることができないの意で、「つる」の連体形で結ぶ。
あしへ:葦の生えている水辺
- 作者
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山口女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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剣太刀名の惜しけくも我れはなし 君に逢はずて年の経ぬれば
- 次の歌
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さ夜中に友呼ぶ千鳥物思ふと わびをる時に鳴きつつもとな