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さ夜中に友呼ぶ千鳥物思ふと
わびをる時に鳴きつつもとな

歌の意味
真夜中に友を呼ぶ千鳥が、物思いをしてつらく思っている時に、むやみに鳴き続けていることだ。
鑑賞
巻第四 相聞 618

詞書「大神女郎の大伴宿祢家持に贈る歌一首」
 真夜中に友を呼んで鳴く千鳥の声が、恋に悩みつらく思っている時にむやみに響くと詠む歌である。友を呼ぶ千鳥の声に、恋人を呼び求める自分の心を重ねている。
 作者の大神女郎は、大神氏の女性で、伝は未詳である。

 初句「さ夜中に」の「さ」は接頭語で、真夜中にの意である。
 二句「友呼ぶ千鳥」は、友を呼んで鳴く千鳥の意で、仲間を求めて鳴く声に恋人を求める思いを重ねる。
 三句「物思ふと」は、物思いをするとての意である。
 四句「わびをる時に」の「わぶ」は思い悩む、つらく思うの意で、つらく思っている時にの意となる。
 結句「鳴きつつもとな」の「もとな」はわけもなく、むやみにの意で、むやみに鳴き続けていることだの意となる。言いさしの形で余韻を残している。

わぶ:つらく思う、思い悩む
作者
大神女郎
出典
万葉集
前の歌
葦辺より満ち来る潮のいや増しに 思へか君が忘れかねつる
次の歌
初めより長く言ひつつ頼めずは かかる思ひに逢はましものか