草枕旅に久しくなりぬれば
汝をこそ思へな恋ひそ我妹
- 歌の意味
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旅に出て長くなったので、私こそあなたを思っているのだ。恋しがらないでくれ、わが妻よ。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 622
詞書「佐伯宿祢東人の和ふる歌一首」
前歌の妻の歌に夫が答えた歌である。旅が長くなったので、私こそあなたを思っているのだから、そんなに恋しがらないでくれと妻を慰める。前歌が夢の原因を妻の側の恋しさに求めたのに対し、本歌は夫の側の思いを示して応じている。
作者の佐伯東人は、奈良時代の官人で、西海道節度使の判官を務めた。
初句「草枕」は「旅」にかかる枕詞である。
二句「旅に久しく」は、旅に出て長くの意である。
三句「なりぬれば」は、なってしまったのでの意で、「ぬれ」は完了、「ば」は確定条件を表す。
四句「汝をこそ思へ」は、あなたをこそ思っているの意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「思へ」で結ぶ。ここで切れる四句切れである。
結句「な恋ひそ我妹」の「な〜そ」は禁止を表し、恋しがらないでくれ、わが妻よと呼びかけて結ぶ。
わぎも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
- 作者
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佐伯東人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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間なく恋ふれにかあらむ草枕 旅なる君が夢にし見ゆる
- 次の歌
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松の葉に月はゆつりぬ黄葉の 過ぐれや君が逢はぬ夜ぞ多き