草枕旅には妻は率たれども
櫛笥のうちの玉をこそ思へ
- 歌の意味
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旅には妻を連れて来ているけれど、櫛箱の中の玉のように大切なあなたのことを思っているのだ。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 635
詞書「湯原王のまた贈る歌二首」
前歌のからかいに答えて湯原王が贈った歌である。旅に妻を連れてはいるが、心に思うのは櫛箱の中の玉のように大切なあなたのことだと言い返す。妻を持ちながら娘子を思うという、二つの心を巧みに言い表している。
作者の湯原王は、志貴皇子の子で、奈良時代の歌人である。清新な歌風で知られる。
初句「草枕」は「旅」にかかる枕詞である。
二句「旅には妻は」は、旅には妻はの意で、前歌の「旅にも妻と」を受けている。
三句「率たれども」の「率る」は連れるの意で、連れているけれどもの意となる。
四句「櫛笥のうちの」は、櫛箱の中のの意である。
結句「玉をこそ思へ」は、玉をこそ思っているの意で、「こそ」を受けて已然形「思へ」で結ぶ。玉は大切な娘子のたとえである。
ゐる:連れる、伴う
くしげ:櫛などを入れる箱
- 作者
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湯原王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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家にして見れど飽かぬを草枕 旅にも妻とあるが羨しさ
- 次の歌
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我が衣形見に奉る敷栲の 枕を放けずまきてさ寝ませ