- 歌の意味
- 私の衣を形見として差し上げます。枕元から離さずに、身にまとって寝てください。
- 鑑賞
-
巻第四 相聞 636
詞書は前の歌に続き「湯原王のまた贈る歌二首」
二首の二首目で、自分の衣を形見として贈り、枕元から離さず身にまとって寝てほしいと願う歌である。衣を形見とすることで、離れていても共にいたいという思いを込めている。
作者の湯原王は、志貴皇子の子で、奈良時代の歌人である。清新な歌風で知られる。
初句「我が衣」は、私の衣の意である。
二句「形見に奉る」は、形見として差し上げますの意で、ここで切れる二句切れである。
三句「敷栲の」は「枕」にかかる枕詞である。
四句「枕を放けず」は、枕から離さずにの意である。
結句「まきてさ寝ませ」の「まく」は身にまとう、「さ」は接頭語、「ませ」は尊敬の命令形で、身にまとって寝てくださいの意となる。
かたみ:思い出のよすがとなる品
さぬ:寝る。「さ」は接頭語
- 作者
- 湯原王
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 草枕旅には妻は率たれども 櫛笥のうちの玉をこそ思へ
- 次の歌
- 我が背子が形見の衣妻どひに 我が身は離けじ言とはずとも