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我が背子がかく恋ふれこそぬばたまの
夢に見えつつ寐ねらえずけれ

歌の意味
あなたがこれほど恋しく思ってくださるからこそ、夜の夢にあなたが見え続けて、私は眠れないのだ。
鑑賞
巻第四 相聞 639

詞書「娘子のまた報へ贈る歌一首」
 あなたがこれほど恋しく思ってくれるからこそ夢に見え続けて眠れないのだと答える歌である。前歌の湯原王の恋の言葉を受け、夢に見えることを相手の思いのしるしとして返している。本巻の第六百三十三首と同じく、夢を相手の恋心のしるしとみる考え方にもとづいている。
 作者は、湯原王と歌を交わした女性で、名は伝わらない。

 初句「我が背子が」は、あなたがの意である。
 二句「かく恋ふれこそ」は、已然形「恋ふれ」に「こそ」がついて、これほど恋しく思うからこそとの意となる。結びは結句の「けれ」である。
 三句「ぬばたまの」は「夜」「夢」などにかかる枕詞である。
 四句「夢に見えつつ」は、夢に見え続けての意である。
 結句「寐ねらえずけれ」の「らえ」は可能、「けれ」は已然形で「こそ」の結びとなり、眠ることができないのだの意となる。

いめ:夢。上代の語形
出典
万葉集
前の歌
ただ一夜隔てしからにあらたまの 月か経ぬると心惑ひぬ
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はしけやし間近き里を雲居にや 恋ひつつ居らむ月も経なくに