はしけやし間近き里を雲居にや
恋ひつつ居らむ月も経なくに
- 歌の意味
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ああいとしい、すぐ近くの里にいるあなたを、雲の彼方ほど遠いもののように恋い続けているのだろうか。まだひと月も経っていないのに。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 640
詞書「湯原王のまた贈る歌一首」
いとしい人がすぐ近くの里にいるのに、雲の彼方にいるかのように遠く恋い続けているのかと嘆く歌である。逢えずにいる時間はまだひと月にもならないのに、と続けて、恋の焦燥を表している。
作者の湯原王は、志貴皇子の子で、奈良時代の歌人である。清新な歌風で知られる。
初句「はしけやし」は、ああいとしいの意の感動の語である。
二句「間近き里を」は、すぐ近くの里をの意である。
三句「雲居にや」は、雲のかかる遠い所のようにの意で、「や」は疑問の係助詞、結びは四句の「む」である。
四句「恋ひつつ居らむ」は、恋い続けているのだろうかの意で、ここで切れる四句切れである。
結句「月も経なくに」は、ひと月も経たないのにの意である。本巻の第六百三十八首の「月か経ぬると」と通い、同じく時間の長短を詠んでいる。
くもゐ:雲のある所。はるか遠い所
- 作者
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湯原王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子がかく恋ふれこそぬばたまの 夢に見えつつ寐ねらえずけれ
- 次の歌
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絶ゆと言はばわびしみせむと焼大刀の へつかふことは幸くや我が君