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ますらをの思ひわびつつたびまねく
嘆く嘆きを負はぬものかも

歌の意味
立派な男子が思い悩みながら、幾度となく嘆く嘆きを、あなたは身に負わないものなのか。
鑑賞
巻第四 相聞 646

詞書「大伴宿祢駿河麻呂の歌一首」
 立派な男子である自分が思い悩んで幾度も嘆いているのに、その嘆きがあなたに報いとして及ばないものかと詠む歌である。嘆きは原因となった相手に負わせるものという考え方にもとづき、つれない相手への恨みを込めている。次歌の坂上郎女の歌との贈答とみられる。
 作者の大伴駿河麻呂は、大伴御行の孫とされる官人で、坂上郎女の娘の坂上二嬢の夫となった。

 初句「ますらをの」は、立派な男子がの意で、自分を指す。
 二句「思ひわびつつ」は、思い悩みながらの意である。
 三句「たびまねく」は、幾度となくの意である。
 四句「嘆く嘆きを」は、嘆く嘆きをの意で、同じ語を重ねて嘆きの深さを強調する。
 結句「負はぬものかも」は、身に負わないものなのかの意で、「かも」は疑問を含む詠嘆である。

おもひわぶ:思い悩む
おふ:身に受ける
作者
大伴駿河麻呂
出典
万葉集
前の歌
白栲の袖別るべき日を近み 心にむせひ音のみし泣かゆ
次の歌
心には忘るる日なく思へども 人の言こそ繁き君にあれ