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心には忘るる日なく思へども
人の言こそ繁き君にあれ

歌の意味
心の中では忘れる日もなく思っているけれど、あなたは人の噂がうるさい方なのだ。
鑑賞
巻第四 相聞 647

詞書「大伴坂上郎女の歌一首」
 心では忘れる日もなく思っているけれど、あなたは人の噂がうるさい人なので逢えないのだと、駿河麻呂に答える歌である。前歌の恨みに対し、逢えないのは噂のせいだと応じている。遊戯的な贈答とみられる。
 作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。

 初句「心には」は、心の中ではの意である。
 二句「忘るる日なく」は、忘れる日もなくの意である。
 三句「思へども」は、思っているけれどもの意で、「ども」は逆接である。
 四句「人の言こそ」は、人の噂こそと取り立て、「こそ」の結びは結句の「あれ」である。
 結句「繁き君にあれ」は、噂のうるさいあなたなのだの意で、已然形「あれ」で結ぶ。

こと:言葉。うわさ
作者
大伴坂上郎女
出典
万葉集
前の歌
ますらをの思ひわびつつたびまねく 嘆く嘆きを負はぬものかも
次の歌
相見ずて日長くなりぬこの頃は いかに幸くやいふかし我妹