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相見ては月も経なくに恋ふと言はば
をそろと我れを思ほさむかも

歌の意味
逢ってからまだひと月も経たないのに、恋しいと言ったならば、軽はずみな者と私のことを思われるだろうか。
鑑賞
巻第四 相聞 654

詞書は前の歌に続き「大伴宿祢駿河麻呂の歌三首」
 逢ってからひと月も経たないうちに恋しいなどと言えば、軽はずみな男と思われるだろうかと気にする歌である。恋心を打ち明けることへのためらいが、率直に表れている。
 作者の大伴駿河麻呂は、大伴御行の孫とされる官人で、坂上郎女の娘の坂上二嬢の夫となった。

 初句「相見ては」は、逢ってからはの意である。
 二句「月も経なくに」は、ひと月も経たないのにの意で、本巻の第六百四十首の結句と同じ句である。
 三句「恋ふと言はば」は、恋しいと言ったならばの意である。
 四句「をそろと我れを」の「をそろ」は軽はずみ、軽率の意とされる。
 結句「思ほさむかも」の「思ほす」は「思ふ」の尊敬語で、思われるだろうかの意となる。

をそろ:軽はずみ、軽率なこと
作者
大伴駿河麻呂
出典
万葉集
前の歌
心には忘れぬものをたまさかに 見ぬ日さまねく月ぞ経にける
次の歌
我れのみぞ君には恋ふる我が背子が 恋ふといふことは言のなぐさぞ