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あらかじめ人言繁しかくしあらば
しゑや我が背子奥もいかにあらめ

歌の意味
まだ何もないうちから人の噂がうるさい。こんなことでは、ええい、あなた、この先はどうなることだろう。
鑑賞
巻第四 相聞 659

詞書は前の歌に続き「大伴坂上郎女の歌六首」
 恋が始まったばかりなのにもう人の噂がうるさい、このままでは先が思いやられると嘆く歌である。「しゑや」という投げやりな感動の語に、噂への苛立ちが表れている。
 作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。

 初句「あらかじめ」は、前もって、今からもうの意である。
 二句「人言繁し」は、人の噂がうるさいの意で、ここで切れる二句切れである。
 三句「かくしあらば」は、こうであるならばの意である。
 四句「しゑや我が背子」の「しゑや」は、ええい、ままよの意の感動詞である。
 結句「奥もいかにあらめ」は九音の字余りで、「奥」は将来の意、この先はどうなることだろうの意となる。

おく:将来、行く末
作者
大伴坂上郎女
出典
万葉集
前の歌
思へども験もなしと知るものを 何かここだく我が恋ひわたる
次の歌
汝をと我を人ぞ離くなるいで我が君 人の中言聞きこすなゆめ