恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば
夜は隠るらむしましはあり待て
- 歌の意味
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恋いに恋いてやっと逢えたのに。月が出ているので、夜はまだ深いのだろう。しばらくはこのまま待っていてください。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 667
詞書は前の歌に続き「大伴坂上郎女の歌二首」
恋い焦がれてやっと逢えたのに、帰ろうとする相手を、月が出ているからまだ夜は深いだろう、しばらく待ってと引き留める歌である。本巻の第六百六十一首と同じく「恋ひ恋ひて」と歌い出している。
左注によれば、坂上郎女の母の石川内命婦と安倍虫麻呂の母の安曇外命婦とは同居する姉妹で、親しい間柄であった。そのため郎女と虫麻呂も疎遠でなく親しく語り合い、戯れの歌を作って問答したという。
作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。
初句「恋ひ恋ひて」は、恋いに恋いての意で、第六百六十一首と同じ歌い出しである。
二句「逢ひたるものを」は、逢えたのにの意で、「ものを」は逆接を表す。
三句「月しあれば」の「し」は強意で、月が出ているのでの意となる。
四句「夜は隠るらむ」の「隠る」は奥深くあるの意で、夜はまだ深いのだろうの意となる。ここで切れる四句切れである。
結句「しましはあり待て」は八音の字余りで、しばらくはこのまま待っていてくださいの意となる。
ありまつ:そのまま待ち続ける
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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相見ぬは幾久さにもあらなくに ここだく我れは恋ひつつもあるか
- 次の歌
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朝に日に色づく山の白雲の 思ひ過ぐべき君にあらなくに