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あしひきの山橘の色に出でよ
語らひ継ぎて逢ふこともあらむ

歌の意味
山橘の実が赤く色づくように、思いを表に出しなさい。語り合い続けるうちに、逢うこともあるだろう。
鑑賞
巻第四 相聞 669

詞書「春日王の歌一首 志貴皇子の子、母を多紀皇女といふ」
 山橘の赤い実を序として、思いを表に出しなさい、そうすれば語り合ううちに逢うこともあるだろうと、恋を打ち明けるよう勧める歌である。人目を忍ぶ恋が多く詠まれる本巻にあって、あえて思いを表に出すよう促している点に特色がある。
 作者の春日王は、志貴皇子の子で、母は多紀皇女である。

 初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
 二句「山橘の」は、やぶこうじの赤い実のの意で、色づくことから三句の「色に出づ」を導く。
 三句「色に出でよ」は六音の字余りで、思いを表に出しなさいの意である。ここで切れる三句切れである。
 四句「語らひ継ぎて」は、語り合い続けての意である。
 結句「逢ふこともあらむ」は、逢うこともあるだろうの意で、「む」は推量を表す。

やまたちばな:ヤブコウジ。冬に赤い実をつける
作者
春日王
出典
万葉集
前の歌
朝に日に色づく山の白雲の 思ひ過ぐべき君にあらなくに
次の歌
月読の光りに来ませあしひきの 山きへなりて遠からなくに