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月読の光りに来ませあしひきの
山きへなりて遠からなくに

歌の意味
月の光をたよりにおいでください。山が隔てていて遠いわけでもないのだから。
鑑賞
巻第四 相聞 670

詞書「湯原王の歌一首」
 月の光をたよりに訪ねてきてほしいと恋人を誘う歌である。山に隔てられて遠いわけでもないのだからと、来訪を促している。次歌はこれに和した歌である。
 作者の湯原王は、志貴皇子の子で、奈良時代の歌人である。清新な歌風で知られる。

 初句「月読の」は、月の神の意から月そのものを指す。
 二句「光りに来ませ」は、光をたよりにおいでくださいの意で、ここで切れる二句切れである。
 三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
 四句「山きへなりて」の「へなる」は隔たるの意で、山が隔てていての意となる。
 結句「遠からなくに」は、遠くないのにの意で、来訪を促す理由を示して結ぶ。

つくよみ:月の神。また月そのもの
へなる:隔たる、隔てられる
作者
湯原王
出典
万葉集
前の歌
あしひきの山橘の色に出でよ 語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
次の歌
月読の光りは清く照らせれど 惑へる心思ひあへなくに