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をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみ
かつても知らぬ恋もするかも

歌の意味
佐紀沢に生える花かつみの名のように、かつて知らなかったような恋をすることだ。
鑑賞
巻第四 相聞 675

詞書「中臣女郎の大伴宿祢家持に贈る歌五首」
 中臣女郎が大伴家持に贈った五首の最初の歌である。佐紀沢に生える花かつみを序として、その「かつ」の音から「かつても知らぬ」を導き、これまで知らなかった恋をしていると詠む。
 作者の中臣女郎は、中臣氏の女性で、伝は未詳である。大伴家持に恋の歌を贈った女性の一人である。

 初句「をみなへし」は、女郎花が咲く意から「佐紀」にかかる枕詞である。
 二句「佐紀沢に生ふる」は八音の字余りで、佐紀沢に生えるの意である。佐紀沢は平城京の北にあった沢である。
 三句「花かつみ」は水辺に生える植物で、「かつ」の音から四句の「かつて」を導き、初句と合わせて序詞となる。
 四句「かつても知らぬ」は、かつて知らなかったの意である。
 結句「恋もするかも」は、恋をすることだの意で、「かも」は詠嘆である。

はなかつみ:水辺に生える植物。マコモの類とされる
作者
中臣女郎
出典
万葉集
前の歌
真玉つくをちこち兼ねて言は言へど 逢ひて後こそ悔にはありといへ
次の歌
海の底奥を深めて我が思へる 君には逢はむ年は経ぬとも