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このころは千年や行きも過ぎぬると
我れやしか思ふ見まく欲りかも

歌の意味
このごろは千年も過ぎ去ってしまったかと、私はそう思うのだろうか。あなたに逢いたいからだろうか。
鑑賞
巻第四 相聞 686

詞書は前の歌に続き「大伴坂上郎女の歌七首」
 逢えない日々を千年も過ぎたかのように感じると詠み、それは逢いたいと思うからだろうかと自らの心を問う歌である。時間の感覚を誇張して恋しさを表している。
 作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。

 初句「このころは」は、このごろはの意である。
 二句「千年や行きも」の「や」は疑問の係助詞で、千年も過ぎ行きの意となる。
 三句「過ぎぬると」は、過ぎてしまったかとの意である。
 四句「我れやしか思ふ」は、私はそう思うのだろうかの意である。
 結句「見まく欲りかも」は、逢いたいからだろうかの意で、「見まく」は「見む」のク語法である。

ちとせ:千年。きわめて長い年月
作者
大伴坂上郎女
出典
万葉集
前の歌
人言を繁みか君が二鞘の 家を隔てて恋ひつつまさむ
次の歌
うるはしと我が思ふ心速川の 塞きに塞くともなほや崩えなむ