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海山も隔たらなくに何しかも
目言をだにもここだ乏しき

歌の意味
海や山に隔てられているわけでもないのに、どうして、顔を見て言葉を交わすことさえ、こんなにも少ないのだろう。
鑑賞
巻第四 相聞 689

詞書は前の歌に続き「大伴坂上郎女の歌七首」
 七首の最後の歌で、海や山に隔てられているわけでもないのに、顔を合わせて言葉を交わすことさえ少ないと嘆く。本巻の第六百一首の笠女郎の歌「山川も隔たらなくに」と同じ発想で、近くにいながら逢えない嘆きを表している。
 作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。

 初句「海山も」は、海や山もの意である。
 二句「隔たらなくに」は、隔てていないのにの意で、第六百一首の四句と同じ句である。
 三句「何しかも」は、どうしての意で、「か」は疑問の係助詞、結びは結句の連体形である。
 四句「目言をだにも」は、顔を見て言葉を交わすことさえもの意である。
 結句「ここだ乏しき」は、こんなにも少ないの意で、連体形で結ぶ。

めごと:顔を見て言葉を交わすこと
作者
大伴坂上郎女
出典
万葉集
前の歌
青山を横ぎる雲のいちしろく 我れと笑まして人に知らゆな
次の歌
照る月を闇に見なして泣く涙 衣濡らしつ干す人なしに