- 歌の意味
- 照る月を闇夜のように見なして泣く涙で、衣を濡らしてしまった。干してくれる人もいないのに。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 690
詞書「大伴宿祢三依の悲別の歌一首」
別れを悲しみ、明るく照る月さえ闇のように思えて流す涙で衣を濡らしたと詠む歌である。干してくれる人もいないという結句に、別れた人を失った寂しさがにじむ。
作者の大伴三依は、大伴御行の子とされる官人である。
初句「照る月を」は、照り輝く月をの意である。
二句「闇に見なして」は、闇夜のように見なしての意で、悲しみに沈む心には明るい月も闇に見えることを表す。
三句「泣く涙」は、泣く涙の意である。
四句「衣濡らしつ」の「つ」は完了で、衣を濡らしてしまったの意となる。ここで切れる四句切れである。
結句「干す人なしに」は、干してくれる人もいないのにの意で、倒置によって孤独を最後に示している。
みなす:見て、そうであるとみなす
- 作者
- 大伴三依
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 海山も隔たらなくに何しかも 目言をだにもここだ乏しき
- 次の歌
- ももしきの大宮人は多かれど 心に乗りて思ほゆる妹