かくのみし恋ひやわたらむ秋津野に
たなびく雲の過ぐとはなしに
- 歌の意味
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こうしてばかり恋い続けていくのだろうか。秋津野にたなびく雲が過ぎ去らないように、思いが消え去ることもなく。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 693
詞書「大伴宿祢千室の歌一首 未詳」
秋津野にたなびいて去らない雲を序として、思いが消えることもなく恋い続けるばかりなのだろうかと嘆く歌である。雲の去らないさまに、消えない恋心を重ねている。
作者の大伴千室は、大伴氏の人物とみられるが、詞書に「未詳」とあり、伝は明らかでない。
初句「かくのみし」の「し」は強意で、こうしてばかりの意である。
二句「恋ひやわたらむ」の「や」は疑問の係助詞で、恋い続けるのだろうかの意となる。ここで切れる二句切れである。
三句「秋津野に」は、吉野の秋津野にの意である。
四句「たなびく雲の」は、横に長く引く雲のの意で、三句と合わせて結句を導く序の働きをしている。
結句「過ぐとはなしに」は、過ぎ去ることもなくの意である。本巻の第六百六十八首の「思ひ過ぐべき」と同じく、雲の過ぎることに思いの過ぎることを重ねている。
たなびく:雲や霞が横に長く引く
- 作者
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大伴千室
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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うはへなき妹にもあるかもかくばかり 人の心を尽さく思へば
- 次の歌
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恋草を力車に七車 積みて恋ふらく我が心から