古典和歌stream

一瀬には千たび障らひ行く水の
後にも逢はむ今にあらずとも

歌の意味
一つの瀬で千回も岩に妨げられながら流れて行く水が、やがて合流するように、後にでも逢おう。今でなくても。
鑑賞
巻第四 相聞 699

詞書は前の歌に続き「大伴宿祢像見の歌三首」
 一つの瀬で何度も岩に妨げられながらも流れ続ける水を序として、今は逢えなくても後で必ず逢おうと誓う歌である。障害を乗り越えて流れる水に、恋の持続を重ねている。本巻の第五百四十一首の高田女王の歌の結句「今ならずとも」と通う結句である。
 作者の大伴像見は、大伴氏の官人である。

 初句「一瀬には」は、一つの瀬ではの意である。
 二句「千たび障らひ」は、千回も妨げられの意で、流れを遮る岩の多さを表す。
 三句「行く水の」は、流れて行く水のの意で、初句からここまでが序詞となる。
 四句「後にも逢はむ」の「む」は意志で、後でも逢おうの意となる。ここで切れる四句切れである。
 結句「今にあらずとも」は八音の字余りで、今でなくてもの意である。第五百四十一首の結句と通う表現である。

さはる:妨げられる、さえぎられる
作者
大伴像見
出典
万葉集
前の歌
春日野に朝居る雲のしくしくに 我れは恋ひ増す月に日に異に
次の歌
かくしてやなほや罷らむ近からぬ 道の間をなづみ参ゐ来て