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み空行く月の光にただ一目
相見し人の夢にし見ゆる

歌の意味
空を渡る月の光の下で、ただひと目逢っただけの人が、夢に見えることだ。
鑑賞
巻第四 相聞 710

詞書「安都扉娘子の歌一首」
 空を行く月の光の下でただひと目逢っただけの人が、夢に現れると詠む歌である。わずかな出会いが忘れられない心を、月光の美しい情景とともに表している。本巻の第四百九十首などと同じく「夢にし見ゆる」で結ばれている。
 作者の安都扉娘子は、伝未詳の女性である。

 初句「み空行く」の「み」は美称で、空を渡って行くの意である。
 二句「月の光に」は、月の光の下での意である。
 三句「ただ一目」は、ただひと目の意で、出会いのわずかさを示す。
 四句「相見し人の」は、逢った人がの意である。
 結句「夢にし見ゆる」は、夢に見えることだの意で、連体形で結ぶ。

みそら:空の美称
作者
安都扉娘子
出典
万葉集
前の歌
夕闇は道たづたづし月待ちて 行ませ我が背子その間にも見む
次の歌
鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて 浮きたる心我が思はなくに