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むらきもの心砕けてかくばかり
我が恋ふらくを知らずかあるらむ

歌の意味
心が砕けるほどに、これほど私が恋い慕っていることを、あの人は知らないでいるのだろうか。
鑑賞
巻第四 相聞 720

詞書は前の歌に続き「大伴宿祢家持の娘子に贈る歌七首」
 七首の最後の歌で、心が砕けるほど恋い慕っていることを、相手は知らないでいるのだろうかと嘆く。一連を、相手に届かない恋の嘆きで結んでいる。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「むらきもの」は「心」にかかる枕詞である。
 二句「心砕けて」は、心が砕けての意である。
 三句「かくばかり」は、これほどの意である。
 四句「我が恋ふらくを」の「恋ふらく」は「恋ふ」のク語法で、私が恋い慕うことをの意となる。
 結句「知らずかあるらむ」の「か」は疑問、「らむ」は現在推量で、知らないでいるのだろうかの意となる。

くだく:砕ける、思い乱れる
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
ますらをと思へる我れをかくばかり みつれにみつれ片思をせむ
次の歌
あしひきの山にしをれば風流なみ 我がするわざをとがめたまふな