外に居て恋ひつつあらずは君が家の
池に住むといふ鴨にあらましを
- 歌の意味
-
離れた所にいて恋い慕っているくらいなら、大君のお住まいの池に住むという鴨であればよかったのに。
- 鑑賞
-
巻第四 相聞 726
詞書は前の歌に続き「天皇に献る歌二首」
離れた所から恋い慕っているくらいなら、天皇の御殿の池に住む鴨になりたかったと詠む歌である。前歌の池水を受けて、池に住む鴨へと思いを移している。本巻の第五百四十四首や第七百二十二首と同じく、「恋ひつつあらずは〜あらましを」の型をもつ。
作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。万葉集に多くの歌を残し、女流歌人として重んじられている。
初句「外に居て」は、離れた所にいての意である。
二句「恋ひつつあらずは」は八音の字余りで、恋い続けているよりはの意である。第七百二十二首の二句と同じ句である。
三句「君が家の」は六音の字余りで、大君のお住まいのの意である。
四句「池に住むといふ」は八音の字余りで、池に住むというの意である。
結句「鴨にあらましを」の「まし」は反実仮想で、鴨であればよかったのにの意となる。
かも:鴨
- 作者
-
大伴坂上郎女
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
にほ鳥の潜く池水心あらば 君に我が恋ふる心示さね
- 次の歌
-
忘れ草我が下紐に付けたれど 醜の醜草言にしありけり