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逢はむ夜はいつもあらむを何すとか
その宵逢ひて言の繁きも

歌の意味
逢う夜はいつでもあるだろうに、どうしてあの夜に逢って、こんなに噂がうるさいのだろう。
鑑賞
巻第四 相聞 730

詞書は前の歌に続き「大伴坂上大嬢の大伴宿祢家持に贈る歌三首」
 逢う機会はいつでもあったのに、どうしてあの夜に逢ってしまい、こんなに噂が立つのだろうと悔やむ歌である。本巻の第六百十二首の家持の歌と同じく「何すとか」の句を用いている。
 作者の大伴坂上大嬢は、大伴宿奈麻呂と坂上郎女の娘で、のちに大伴家持の正妻となった。

 初句「逢はむ夜は」は、逢う夜はの意である。
 二句「いつもあらむを」は、いつでもあるだろうにの意で、「を」は逆接を表す。
 三句「何すとか」は、どうしての意で、第六百十二首の三句と同じ句である。
 四句「その宵逢ひて」は、あの夜に逢っての意である。
 結句「言の繁きも」は、噂がうるさいことよの意で、「も」は詠嘆である。

よひ:夜のはじめ、宵
作者
大伴坂上大嬢
出典
万葉集
前の歌
玉ならば手にも巻かむをうつせみの 世の人なれば手に巻きかたし
次の歌
我が名はも千名の五百名に立ちぬとも 君が名立たば惜しみこそ泣け