今しはし名の惜しけくも我れはなし
妹によりては千たび立つとも
- 歌の意味
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今はもう、名が惜しいということも私にはない。あなたのためならば、千回噂が立ったとしても。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 732
詞書「また大伴宿祢家持の和ふる歌三首」
前歌の坂上大嬢の歌に答えた家持の三首の最初の歌である。今はもう評判が惜しいとも思わない、あなたのためなら千回噂が立ってもかまわないと答える。前歌の「千名」を受けて「千たび」と応じ、相手の気づかいに対して自らの覚悟を示している。本巻の第六百十六首の山口女王の歌と同じく「名の惜しけくも我れはなし」の句をもつ。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。
初句「今しはし」の「し」は強意で、今はもうの意である。
二句「名の惜しけくも」の「惜しけく」は「惜し」のク語法で、名が惜しいということもの意となる。第六百十六首の二句と同じ句である。
三句「我れはなし」は、私にはないの意で、ここで切れる三句切れである。
四句「妹によりては」は、あなたのためならばの意である。
結句「千たび立つとも」は、千回噂が立ってもの意で、前歌の「千名」を受けている。
な:名。評判、うわさ
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が名はも千名の五百名に立ちぬとも 君が名立たば惜しみこそ泣け
- 次の歌
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うつせみの世やも二行く何すとか 妹に逢はずて我がひとり寝む