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我が思ひかくてあらずは玉にもが
まことも妹が手に巻かれなむ

歌の意味
私の思いがこのように苦しいままでいるよりは、いっそ玉であればよい。そうすれば本当にあなたの手に巻かれるだろう。
鑑賞
巻第四 相聞 734

詞書は前の歌に続き「また大伴宿祢家持の和ふる歌三首」
 三首の最後の歌で、恋に苦しむよりは玉になって、本当にあなたの手に巻かれたいと詠む。坂上大嬢の第七百二十九首「玉ならば手にも巻かむを」を受けて、自ら玉になりたいと応じており、贈答の呼応が鮮やかである。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「我が思ひ」は、私の思いがの意である。
 二句「かくてあらずは」は、このようであるよりはの意である。
 三句「玉にもが」の「もが」は願望で、玉であればよいの意となる。ここで切れる三句切れである。第七百二十九首の初句「玉ならば」に応じている。
 四句「まことも妹が」は、本当にあなたのの意である。
 結句「手に巻かれなむ」は、手に巻かれるだろうの意で、第七百二十九首の二句「手にも巻かむを」に応じている。

たま:宝玉。装身具として身につけた
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
うつせみの世やも二行く何すとか 妹に逢はずて我がひとり寝む
次の歌
春日山霞たなびき心ぐく 照れる月夜にひとりかも寝む