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春日山霞たなびき心ぐく
照れる月夜にひとりかも寝む

歌の意味
春日山に霞がたなびいて、心が晴れないほどにおぼろに照る月夜に、ひとりで寝ることになるのだろうか。
鑑賞
巻第四 相聞 735

詞書「同じ坂上大嬢の家持に贈る歌一首」
 春日山に霞がたなびき、心がふさぐようにおぼろに照る月夜に、ひとりで寝るのだろうかと嘆く歌である。霞にかすむ春の月夜の景に、独り寝のもの寂しさを重ねている。
 作者の大伴坂上大嬢は、大伴宿奈麻呂と坂上郎女の娘で、のちに大伴家持の正妻となった。

 初句「春日山」は、奈良の都の東にある山である。
 二句「霞たなびき」は、霞がたなびいての意である。
 三句「心ぐく」は、心が晴れず、うっとうしくの意である。
 四句「照れる月夜に」は、照っている月夜にの意である。
 結句「ひとりかも寝む」の「かも」は疑問を含む詠嘆で、ひとりで寝ることになるのだろうかの意となる。

かすみ:霞
作者
大伴坂上大嬢
出典
万葉集
前の歌
我が思ひかくてあらずは玉にもが まことも妹が手に巻かれなむ
次の歌
月夜には門に出で立ち夕占問ひ 足占をぞせし行かまくを欲り