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一重のみ妹が結ばむ帯をすら
三重結ぶべく我が身はなりぬ

歌の意味
一重だけあの人が結ぶ帯でさえ、三重に巻いて結べるほどに、私の身はやせ細ってしまった。
鑑賞
巻第四 相聞 742

詞書は前の歌に続き「さらに大伴宿祢家持の坂上大嬢に贈る歌十五首」
 恋にやつれて、あの人なら一重に結ぶ帯を三重に巻けるほど、自分の身はやせ細ってしまったと詠む歌である。これも『遊仙窟』をふまえた表現とされ、恋のやつれを具体的な誇張で表している。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「一重のみ」は、一重だけの意である。
 二句「妹が結ばむ」は、あの人が結ぶであろうの意である。
 三句「帯をすら」の「すら」は「〜でさえ」の意で、帯でさえの意となる。
 四句「三重結ぶべく」は、三重に結べるほどにの意で、初句の「一重」と対比させている。
 結句「我が身はなりぬ」は、私の身はなってしまったの意で、「ぬ」は完了を表す。

おび:帯
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
夢の逢ひは苦しかりけりおどろきて 掻き探れども手にも触れねば
次の歌
我が恋は千引の石を七ばかり 首に懸けむも神のまにまに