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夢にだに見えばこそあらめかくばかり
見えずしあるは恋ひて死ねとか

歌の意味
せめて夢にでも見えるのならばまだよいが、これほどまでに見えないのは、恋い焦がれて死ねということか。
鑑賞
巻第四 相聞 749

詞書は前の歌に続き「さらに大伴宿祢家持の坂上大嬢に贈る歌十五首」
 せめて夢にでも見えれば慰めになるのに、これほど見えないのは恋い死にせよということかと恨む歌である。夢は相手の思いのしるしとされたことから、夢に現れない相手のつれなさを責めている。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「夢にだに」の「だに」はせめて〜だけでもの意で、せめて夢にでもの意となる。
 二句「見えばこそあらめ」は八音の字余りで、見えるならばまだよいの意である。係助詞「こそ」を受けて已然形「め」で結び、ここで切れる二句切れである。
 三句「かくばかり」は、これほどの意である。
 四句「見えずしあるは」の「し」は強意で、見えないでいるのはの意となる。
 結句「恋ひて死ねとか」は、恋い焦がれて死ねということかの意で、相手のつれなさを責めて結ぶ。

いめ:夢。上代の語形
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
恋ひ死なむそこも同じぞ何せむに 人目人言言痛み我がせむ
次の歌
思ひ絶えわびにしものを中々に 何か苦しく相見そめけむ