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思ひ絶えわびにしものを中々に
何か苦しく相見そめけむ

歌の意味
あきらめて気落ちしていたのに、かえってどうして、こんなに苦しい思いで逢いはじめてしまったのだろう。
鑑賞
巻第四 相聞 750

詞書は前の歌に続き「さらに大伴宿祢家持の坂上大嬢に贈る歌十五首」
 思いを断ち切ってあきらめていたのに、なぜまた逢いはじめて苦しむことになったのかと悔やむ歌である。数年の途絶えの後に再び始まった恋を振り返っている。本巻の第六百十二首と同じく「相見そめけむ」の句をもつ。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「思ひ絶え」は、思いを断ち切っての意である。
 二句「わびにしものを」は、気落ちしていたのにの意で、「ものを」は逆接を表す。
 三句「中々に」は、かえっての意である。
 四句「何か苦しく」の「か」は疑問の係助詞で、どうして苦しくの意となる。
 結句「相見そめけむ」は、逢いはじめたのだろうの意で、第六百十二首の四句と同じ句である。

おもひたゆ:思いを断ち切る、あきらめる
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
夢にだに見えばこそあらめかくばかり 見えずしあるは恋ひて死ねとか
次の歌
相見ては幾日も経ぬをここだくも くるひにくるひ思ほゆるかも