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夜のほどろ出でつつ来らくたび数多く
なれば我が胸断ち焼くごとし

歌の意味
夜明け前に出て来ることがたび重なると、私の胸は切り裂かれ焼かれるように苦しい。
鑑賞
巻第四 相聞 755

詞書は前の歌に続き「さらに大伴宿祢家持の坂上大嬢に贈る歌十五首」
 十五首の最後の歌で、夜明け前に恋人のもとを出て来ることが重なると、胸が切り裂かれ焼かれるように苦しいと詠む。前歌と同じ「夜のほどろ」で歌い出し、別れの苦しさを激しい言葉で表している。これも『遊仙窟』をふまえた表現とされる。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「夜のほどろ」は、前歌と同じ歌い出しである。
 二句「出でつつ来らく」の「来らく」は「来」のク語法で、出て来ることがの意となる。
 三句「たび数多く」は、たび重なっての意である。
 四句「なれば我が胸」は、なると私の胸はの意である。
 結句「断ち焼くごとし」は、切り裂き焼くようだの意で、別れの苦しさを激しく表して一連を結ぶ。

たちやく:切り裂き焼く
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
夜のほどろ我が出でて来れば我妹子が 思へりしくし面影に見ゆ
次の歌
外に居て恋ふれば苦し我妹子を 継ぎて相見む事計りせよ