遠くあらばわびてもあらむを里近く
ありと聞きつつ見ぬがすべなさ
- 歌の意味
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遠くにいるのならば、気落ちしながらも過ごしていられようが、里近くにいると聞きながら逢えないのがやるせない。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 757
詞書は前の歌に続き「大伴田村家の大嬢の妹坂上大嬢に贈る歌四首」
遠くにいるならあきらめもつくが、近くの里にいると聞きながら逢えないのがやるせないと詠む歌である。本巻の第六百十首の笠女郎の歌が「近くあれば見ねどもあるを」と詠んだのとは逆に、近いからこそ逢えないのがつらいという心を表している。
左注によれば、田村大嬢と坂上大嬢はともに大伴宿奈麻呂の娘で、父が田村の里に住んだことから姉は田村大嬢と呼ばれ、妹は母の坂上郎女が坂上の里に住んだことから坂上大嬢と呼ばれた。このとき姉妹は歌を贈り合って安否を問うたという。
作者の大伴田村大嬢は、大伴宿奈麻呂の娘で、坂上大嬢の異母姉にあたる。
初句「遠くあらば」は六音の字余りで、遠くにいるならばの意である。
二句「わびてもあらむを」は八音の字余りで、気落ちしながらも過ごせようがの意となる。
三句「里近く」は、近くの里にの意である。
四句「ありと聞きつつ」は、いると聞きながらの意である。
結句「見ぬがすべなさ」は、逢えないのがやるせないの意で、体言止めで結ぶ。
わぶ:気落ちする、つらく思う
- 作者
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大伴田村大嬢
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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外に居て恋ふれば苦し我妹子を 継ぎて相見む事計りせよ
- 次の歌
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白雲のたなびく山の高々に 我が思ふ妹を見むよしもがも