一重山へなれるものを月夜よみ
門に出で立ち妹か待つらむ
- 歌の意味
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山ひとつ隔たっているのに、月夜が美しいので、門に出て立って、妻は私を待っているだろうか。
- 鑑賞
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巻第四 相聞 765
詞書「久迩京に在りて、寧楽の宅に留まれる坂上大嬢を思ひて、大伴宿祢家持の作る歌一首」
家持が久迩京にいて、奈良の家に残る坂上大嬢を思って詠んだ歌である。山ひとつ隔てているのに、月夜が美しいので、妻は門に出て自分を待っているだろうかと思いやる。本巻の第七百三十六首で家持自身が月夜に門に出て占ったのと呼応するように、ここでは妻が門に出て待つ姿を思い描いている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。
初句「一重山」は、ひとつの山の意で、久迩京と奈良を隔てる山を指す。
二句「へなれるものを」の「へなる」は隔たるの意で、隔たっているのにの意となる。
三句「月夜よみ」は、月夜がよいのでの意で、「〜を〜み」の形で理由を表す。
四句「門に出で立ち」は、門に出て立ちの意で、第七百三十六首の二句と同じ句である。
結句「妹か待つらむ」の「か」は疑問、「らむ」は現在推量で、妻は待っているだろうかの意となる。
へなる:隔たる
ひとへやま:ひとつの山
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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百年に老舌出でてよよむとも 我れはいとはじ恋ひは増すとも
- 次の歌
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道遠み来じとは知れるものからに しかぞ待つらむ君が目を欲り