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心ぐく思ほゆるかも春霞
たなびく時に言の通へば

歌の意味
心がふさぐように思われることだ。春霞のたなびく時に、言葉が通って来るので。
鑑賞
巻第四 相聞 789

詞書「また家持の藤原朝臣久須麻呂に贈る歌二首」
 また久須麻呂に贈った二首の最初の歌である。春霞がたなびく物憂い時に便りが通って来るので、心がふさぐように思われると詠む。本巻の第七百三十五首の坂上大嬢の歌と同じく、春霞と「心ぐく」とを取り合わせている。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深くかかわったとされる歌人である。のちに中納言に至った。

 初句「心ぐく」は、心が晴れず、うっとうしくの意である。
 二句「思ほゆるかも」は、思われることだの意で、ここで切れる二句切れである。
 三句「春霞」は、春の霞の意である。
 四句「たなびく時に」は、たなびく時にの意である。
 結句「言の通へば」は、言葉が通って来るのでの意で、倒置によって理由を示している。

はるがすみ:春の霞
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
うら若み花咲きかたき梅を植ゑて 人の言繁み思ひぞ我がする
次の歌
春風の音にし出なばありさりて 今ならずとも君がまにまに