竜の馬も今も得てしかあをによし
奈良の都に行きて来むため
- 歌の意味
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竜の馬でも今すぐに手に入れたいものだ。奈良の都に行って、帰って来るために。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 806
詞書「歌詞両首 大宰帥大伴卿」
天をかける竜の馬を今すぐにでも手に入れて、奈良の都まで行って帰って来たいと願う一首である。遠い筑紫から都を恋う気持ちを、中国の伝説の駿馬に託して表している。
題詞には歌に先立って漢文の書簡が置かれ、いただいたお手紙を拝して趣旨をよく承ったこと、たちまち天の川に隔てられた恋しさを覚え、また橋の柱を抱いて待ち続けた人のような思いに心を痛めること、ただ去る者と留まる者が互いに無事であることを願い、雲の晴れる日を待つばかりであることを記す。都の知人から届いた手紙への返書として、二首の歌が添えられたものである。
作者の大伴旅人は、大納言大伴安麻呂の子で、大伴家持の父である。神亀年間の末に大宰帥として筑紫に下り、天平二年に大納言となって帰京し、翌年に没した。漢詩文や老荘思想に通じ、大宰府で山上憶良らと文雅の交わりを結び、その集まりは筑紫歌壇と呼ばれる。
初句「竜の馬も」は、中国の伝説で天をかけるという駿馬をいう。次の答歌の第八百八首は、同じ「竜の馬」を初句に置いて応じている。
二句「今も得てしか」の「てしか」は願望の終助詞で、今すぐにも手に入れたいと願う。ここで句が切れる二句切れである。
三句「あをによし」は「奈良」にかかる枕詞である。
四句「奈良の都に」は、作者が恋い慕う故郷の都を示す。
結句「行きて来むため」は、都に行って、また筑紫へ帰って来るために、の意で、大宰帥としての任を離れられない身の上をにじませる。
たつのま:竜の馬。天を駆けるという伝説の駿馬
- 作者
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大伴旅人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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常磐なすかくしもがもと思へども 世の事なれば留みかねつも
- 次の歌
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うつつには逢ふよしもなしぬばたまの 夜の夢にを継ぎて見えこそ