梅の花折りてかざせる諸人は
今日の間は楽しくあるべし
- 歌の意味
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梅の花を折って髪に挿している人々は皆、今日一日の間は楽しくあるにちがいない。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 832
詞書は前の歌に続き「梅花の歌三十二首 并せて序」
梅の花を髪に挿した人々は、今日一日楽しく過ごすにちがいないと詠む一首である。宴に集う人々の姿を外から眺めるように描き、その場の和やかな楽しさをことほいでいる。
天平二年正月十三日、大宰帥大伴旅人の邸宅に大宰府の官人や九州諸国の国司らが集い、庭の梅を題に詠み合った「梅花の宴」の歌三十二首の一首である。漢文の序は、初春の令月に気は良く風は和らぎ、梅は鏡の前の白粉のように白く開き、蘭は身に帯びた香のように薫ると記し、令和の元号の典拠となったことでも知られる。序は、中国の詩文に落梅の篇があるように、園の梅を題に短歌を詠もうと結ばれている。歌の末尾に「神司荒氏稲布」とある。神司は大宰府で神事をつかさどる官で、荒氏を荒木田氏などとみる説があり定まらない。
作者の荒氏稲布は、大宰府の神司の任にあった官人である。
初句「梅の花」は、宴の主題である。
二句「折りてかざせる」は、折って髪に挿している、の意で、宴の人々の姿を描く。
三句「諸人は」は、そこに集う人々みな、の意で、本巻の第八百四十三首も同じく「諸人」の語で宴の人々を捉えている。
四句「今日の間は」は、今日一日の間は、の意で、限られた一日の楽しさを強調する。
結句「楽しくあるべし」の「べし」は推量で、楽しいにちがいないと言い切り、宴をことほいで結ぶ。
もろひと:多くの人々、皆の者
- 作者
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荒氏稲布
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春なればうべも咲きたる梅の花 君を思ふと夜寐も寝なくに
- 次の歌
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年のはに春の来らばかくしこそ 梅をかざして楽しく飲まめ