春の野に鳴くや鴬なつけむと
我が家の園に梅が花咲く
- 歌の意味
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春の野で鳴く鶯を手なずけようとして、わが家の庭に梅の花が咲いている。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 837
詞書は前の歌に続き「梅花の歌三十二首 并せて序」
春の野で鳴く鶯を手なずけようとして、わが家の庭に梅が咲いていると詠む一首である。梅が咲く理由を鶯を呼び寄せるためと見立てる機知によって、梅と鶯の取り合わせを楽しんでいる。
天平二年正月十三日、大宰帥大伴旅人の邸宅に大宰府の官人や九州諸国の国司らが集い、庭の梅を題に詠み合った「梅花の宴」の歌三十二首の一首である。漢文の序は、初春の令月に気は良く風は和らぎ、梅は鏡の前の白粉のように白く開き、蘭は身に帯びた香のように薫ると記し、令和の元号の典拠となったことでも知られる。序は、中国の詩文に落梅の篇があるように、園の梅を題に短歌を詠もうと結ばれている。歌の末尾に「算師志氏大道」とある。算師は大宰府で計算をつかさどる官である。
作者の志氏大道は、大宰府の算師の任にあった官人である。志氏を志紀氏とみる説がある。
初句「春の野に」は、梅の咲く庭の外の広い野をいう。
二句「鳴くや鴬」の「や」は語調を整える間投助詞で、野で鳴く鶯を示す。
三句「なつけむと」は、手なずけようとして、の意で、梅の意図を擬人的に述べる。
四句「我が家の園に」は庭の内をいい、初句の野と、外と内の対比をなす。
結句「梅が花咲く」は、梅の開花を最後に置き、鶯を招くために咲くという見立てを完成させて結ぶ。
なつく:手なずける、慣れ親しませる
- 作者
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志氏大道
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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梅の花手折りかざして遊べども 飽き足らぬ日は今日にしありけり
- 次の歌
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梅の花散り乱ひたる岡びには 鴬鳴くも春かたまけて