春柳かづらに折りし梅の花
誰れか浮かべし酒坏の上に
- 歌の意味
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春柳のかづらにしようと折った梅の花を、誰が浮かべたのか。酒杯の上に。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 840
詞書は前の歌に続き「梅花の歌三十二首 并せて序」
蘰にしようと折った梅の花を、誰が酒杯に浮かべたのかと詠む一首である。杯に浮かぶ梅の花びらという宴の一場面を捉え、風流な光景に興じている。
天平二年正月十三日、大宰帥大伴旅人の邸宅に大宰府の官人や九州諸国の国司らが集い、庭の梅を題に詠み合った「梅花の宴」の歌三十二首の一首である。漢文の序は、初春の令月に気は良く風は和らぎ、梅は鏡の前の白粉のように白く開き、蘭は身に帯びた香のように薫ると記し、令和の元号の典拠となったことでも知られる。序は、中国の詩文に落梅の篇があるように、園の梅を題に短歌を詠もうと結ばれている。歌の末尾に「壱岐目村氏彼方」とある。
作者の村氏彼方は、この時壱岐国の目の任にあった官人である。
初句「春柳」は、柳の枝を蘰にすることから「かづら」にかかる枕詞で、春の柳の実景も兼ねる。
二句「かづらに折りし」は、蘰にしようとして折った、の意である。
三句「梅の花」は、蘰のために折った花が思わぬところにあることを示す。
四句「誰れか浮かべし」の「か」は疑問の係助詞で、「し」で結ぶ係り結びである。ここで句が切れる四句切れで、結句と倒置の関係にある。
結句「酒坏の上に」は、酒杯の上に、の意で、倒置によって杯に浮かぶ花を最後に印象づける。後の追和の第八百五十二首では、梅の花自身が酒に浮かべてほしいと語っている。
かづら:草木の枝や花を輪にして頭に飾るもの
さかづき:酒を飲む器
- 作者
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村氏彼方
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春の野に霧立ちわたり降る雪と 人の見るまで梅の花散る
- 次の歌
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鴬の音聞くなへに梅の花 我家の園に咲きて散る見ゆ