雲に飛ぶ薬食むよは都見ば
いやしき我が身また変若ぬべし
- 歌の意味
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雲に飛ぶ仙薬を飲むよりは、都を見たならば、この卑しい私の身もまた若返るにちがいない。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 848
詞書は前の歌に続き「員外、故郷を思ふ歌両首」
雲に飛ぶ仙薬を飲むよりも、都を見さえすれば、卑しいわが身も若返るにちがいないと詠む一首である。前歌で仙薬でも若返れないと嘆いたのに対し、都を見ることこそが若返りの薬だと転じ、強い望郷の思いを表している。
題詞の「員外」は、梅花の宴の三十二首の数に入らない歌の意で、故郷を思う歌二首が宴の歌に続けて置かれている。作者は記されていないが、大伴旅人の作とみるのが通説である。
作者の大伴旅人は、大納言大伴安麻呂の子で、大伴家持の父である。神亀年間の末に大宰帥として筑紫に下り、天平二年に大納言となって帰京し、翌年に没した。漢詩文や老荘思想に通じ、大宰府で山上憶良らと文雅の交わりを結び、その集まりは筑紫歌壇と呼ばれる。
初句「雲に飛ぶ」は、前歌の三句と同じ句で、二首を連続させている。
二句「薬食むよは」の「よは」は「よりは」の意で、仙薬を飲むよりは、と比較する。
三句「都見ば」は、都を見たならば、と仮定する。
四句「いやしき我が身」は、老いて衰えた自分の身をへりくだっていう。
結句「また変若ぬべし」は、前歌の結句「また変若めやも」を受け、反語を確信の推量「ぬべし」に反転させて、都を見れば若返るはずだと結ぶ。
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- 作者
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大伴旅人(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が盛りいたくくたちぬ雲に飛ぶ 薬食むともまた変若めやも
- 次の歌
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残りたる雪に交れる梅の花 早くな散りそ雪は消ぬとも