残りたる雪に交れる梅の花
早くな散りそ雪は消ぬとも
- 歌の意味
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消え残った雪に交じって咲く梅の花よ、早く散らないでおくれ。たとえ雪は消えてしまっても。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 849
詞書「後に梅の歌に追和する四首」
消え残る雪に交じって咲く梅の花に、雪は消えても早く散らないでほしいと願う一首である。白い雪と白い梅とを並べ、先に消える雪と残ってほしい梅とを対比させている。
題詞に「後に梅の歌に追和する四首」とあり、梅花の宴の後に、宴の歌に和して詠まれたものである。作者は記されていないが、宴の主人であった大伴旅人の作とみるのが通説である。
作者の大伴旅人は、大納言大伴安麻呂の子で、大伴家持の父である。神亀年間の末に大宰帥として筑紫に下り、天平二年に大納言となって帰京し、翌年に没した。漢詩文や老荘思想に通じ、大宰府で山上憶良らと文雅の交わりを結び、その集まりは筑紫歌壇と呼ばれる。
初句「残りたる」は、消え残った、の意で、早春の庭の景を示す。
二句「雪に交れる」は、雪の中に交じって咲いている、の意で、雪と梅の白さが見分けがたいさまをいう。
三句「梅の花」は、呼びかけの対象として置かれる。
四句「早くな散りそ」の「な…そ」は禁止を表し、早く散らないでくれと願う。ここで句が切れる四句切れである。
結句「雪は消ぬとも」の「消」は「け」と読み、消える意の動詞「く」の連用形である。雪は消えても梅は残ってほしいと、倒置によって願いを強めて結ぶ。
く:消える。「消ぬ」で消えてしまう意
- 作者
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大伴旅人(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雲に飛ぶ薬食むよは都見ば いやしき我が身また変若ぬべし
- 次の歌
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雪の色を奪ひて咲ける梅の花 今盛りなり見む人もがも