雪の色を奪ひて咲ける梅の花
今盛りなり見む人もがも
- 歌の意味
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雪の白さを奪いとって咲いている梅の花は、今が盛りだ。見てくれる人がいたらよいのに。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 850
詞書は前の歌に続き「後に梅の歌に追和する四首」
雪の白さを奪うほどに白く咲く梅が今を盛りと咲いているので、共に見る人がいてほしいと願う一首である。宴の華やぎが去った後の庭で、美しい梅をひとり見るさびしさがにじんでいる。
題詞に「後に梅の歌に追和する四首」とあり、梅花の宴の後に、宴の歌に和して詠まれたものである。作者は記されていないが、宴の主人であった大伴旅人の作とみるのが通説である。
作者の大伴旅人は、大納言大伴安麻呂の子で、大伴家持の父である。神亀年間の末に大宰帥として筑紫に下り、天平二年に大納言となって帰京し、翌年に没した。漢詩文や老荘思想に通じ、大宰府で山上憶良らと文雅の交わりを結び、その集まりは筑紫歌壇と呼ばれる。
初句「雪の色を」は、雪の白い色をいう。六音の字余りである。
二句「奪ひて咲ける」は、雪の白さを奪い取ったように白く咲いている、の意で、中国の詩の表現に学んだ擬人的な言い方である。
三句「梅の花」は、歌の中心となる景物である。
四句「今盛りなり」は、宴の第八百二十首や第八百三十四首と同じ句で、ここで句が切れる四句切れである。
結句「見む人もがも」の「もがも」は願望の終助詞で、見てくれる人がいればよいのにと結ぶ。次歌も同じ結句で終わる。
うばふ:奪い取る
- 作者
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大伴旅人(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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残りたる雪に交れる梅の花 早くな散りそ雪は消ぬとも
- 次の歌
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我がやどに盛りに咲ける梅の花 散るべくなりぬ見む人もがも