梅の花夢に語らくみやびたる
花と我れ思ふ酒に浮かべこそ
- 歌の意味
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梅の花が夢の中で語ることには、「私は風雅な花だと自負しています。どうか酒に浮かべてください」と。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 852
詞書は前の歌に続き「後に梅の歌に追和する四首」
梅の花が夢に現れ、自分は風雅な花だと思うから、酒に浮かべてほしいと語ったと詠む一首である。梅を擬人化して夢の中で語らせるという趣向で、宴の酒と梅の風流とを結びつけている。
歌の後に「一に云ふ」として、四句と結句を「いたづらに我れを散らすな酒に浮かべこそ」とする別の伝えが記される。ここでは本行の形に従う。
題詞に「後に梅の歌に追和する四首」とあり、梅花の宴の後に、宴の歌に和して詠まれたものである。作者は記されていないが、宴の主人であった大伴旅人の作とみるのが通説である。
作者の大伴旅人は、大納言大伴安麻呂の子で、大伴家持の父である。神亀年間の末に大宰帥として筑紫に下り、天平二年に大納言となって帰京し、翌年に没した。漢詩文や老荘思想に通じ、大宰府で山上憶良らと文雅の交わりを結び、その集まりは筑紫歌壇と呼ばれる。
初句「梅の花」は、夢に現れて語る主体として置かれる。
二句「夢に語らく」の「語らく」は「語ることには」の意で、以下に梅の言葉を引く。
三句「みやびたる」は、風雅で洗練された、の意で、梅が自らの品格を誇る言葉である。
四句「花と我れ思ふ」は、自分はそのような花だと思っている、の意である。
結句「酒に浮かべこそ」の「こそ」は願望の終助詞で、酒に浮かべてほしいと願う。宴の第八百四十首が杯に浮かぶ梅を詠んだのに応じるように、梅自身の願いとして結ぶ。
いめ:夢の古い形
- 作者
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大伴旅人(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我がやどに盛りに咲ける梅の花 散るべくなりぬ見む人もがも
- 次の歌
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あさりする海人の子どもと人は言へど 見るに知らえぬ貴人の子と