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君を待つ松浦の浦の娘子らは
常世の国の海人娘子かも

歌の意味
あなたを待つという松浦の浦の娘子たちは、常世の国の海人の乙女なのだろうか。
鑑賞
巻第五 雑歌 865

詞書「松浦の仙媛の歌に和ふる一首」
 あなたを待つ松浦の浦の娘子らは、常世の国の海人の乙女なのだろうかと詠む一首である。旅人から送られた松浦河の物語の歌に和し、娘子らを不老不死の仙境の乙女とたたえている。
 題詞の書簡には、吉田宜が大伴旅人から四月六日付の手紙を受け取り、封を開いて読み、心が晴れたことが記される。辺境の地で旅にあって昔を懐かしみ、年月の過ぎるのを惜しんで涙する旅人を慰め、長寿を祈る。また旅人から示された梅花の宴の歌と、松浦の玉島の仙女との贈答の歌を読んで感嘆したと述べ、青い海が地を隔て白雲が天を隔てる遠さを嘆きつつ、相撲部領使に託して返書を送るとある。
 作者の吉田宜は、百済系の渡来人の子孫とされ、もとは恵俊という僧であったが、朝廷の命で還俗して吉田連の姓を賜った。医術にすぐれ、のちに図書頭などをつとめた。

 初句「君を待つ」は、「松浦」の「まつ」を導く働きをもち、あなたを待つ意と地名の松浦とを掛けている。
 二句「松浦の浦の」は、物語の舞台である松浦の浦をいう。
 三句「娘子らは」は、物語の中で旅人と歌を交わした娘子たちを指す。
 四句「常世の国の」の「常世の国」は、海のかなたにあるとされた不老不死の理想郷で、中国の神仙境の考えと重ねられる。
 結句「海人娘子かも」の「かも」は疑問を含む詠嘆で、仙女のような海人の乙女であろうかと結ぶ。

とこよ:海のかなたにあるとされた不老不死の国
まつ:「待つ」意と、地名の松浦の「松」を掛ける
作者
吉田宜
出典
万葉集
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後れ居て長恋せずは御園生の 梅の花にもならましものを
次の歌
はろはろに思ほゆるかも白雲の 千重に隔てる筑紫の国は