はろはろに思ほゆるかも白雲の
千重に隔てる筑紫の国は
- 歌の意味
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はるか遠くに思われることだ。白雲が幾重にも隔てている筑紫の国は。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 866
詞書「君を思ふこと未だ尽きず、重ねて題す二首」
白雲が幾重にも隔てる筑紫の国は、はるか遠くに思われると詠む一首である。書簡の、青い海が地を隔て白雲が天を隔てるという言葉を歌に移し、旅人のいる筑紫との距離の遠さを嘆いている。
題詞に「君を思ふこと未だ尽きず、重ねて題す二首」とあり、書簡と二首の歌に続けて、なお尽きない思いを重ねて詠んだものである。左注に天平二年七月十日の日付がある。
作者の吉田宜は、百済系の渡来人の子孫とされ、もとは恵俊という僧であったが、朝廷の命で還俗して吉田連の姓を賜った。医術にすぐれ、のちに図書頭などをつとめた。
初句「はろはろに」は、はるばると遠いさまをいう。
二句「思ほゆるかも」の「かも」は詠嘆で、ここで句が切れる二句切れである。
三句「白雲の」は、空にかかる白い雲で、遠く隔てるものの象徴である。
四句「千重に隔てる」は、幾重にも重なって隔てている、の意である。
結句「筑紫の国は」は、倒置によって遠く思われる対象を最後に示し、体言止めで結ぶ。
ちへ:幾重にも重なること
- 作者
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吉田宜
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君を待つ松浦の浦の娘子らは 常世の国の海人娘子かも
- 次の歌
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君が行き日長くなりぬ奈良道なる 山斎の木立も神さびにけり