万世にいましたまひて天の下
奏したまはね朝廷去らずて
- 歌の意味
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いつまでも長生きなさって、天下の政治を奏上なさってください。朝廷を離れることなく。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 879
詞書は前の歌に続き「書殿にて餞酒する日の倭歌四首」
いつまでも長生きして、朝廷を離れることなく天下の政を執り行ってほしいと、旅人の長寿と活躍を祈る一首である。送別の四首の最後を、大納言として都に戻る旅人への祝福で結んでいる。
題詞に「書殿にて餞酒する日の倭歌四首」とある。天平二年の冬、大納言に任じられて帰京する大伴旅人のために、大宰府の書殿で開かれた送別の宴での和歌で、「倭歌」は漢詩に対して和歌をいう。作者は記されていないが、続く三首と同じく山上憶良の作とみるのが通説である。
作者の山上憶良は、大宝元年に任じられた遣唐使の少録として唐に渡った官人で、帰国後は伯耆守や東宮に仕える役などを経て、神亀年間の末に筑前守として筑紫に赴任した。人生の苦しみや家族への情愛、貧しさなど、暮らしに根ざした主題を、漢籍や仏典の教養を背景に詠んだ歌人として知られる。
初句「万世に」は、万代ののちまでも、の意で、長寿を祈る言葉である。
二句「いましたまひて」は、生きていらっしゃって、の意で、「いまし」に「たまふ」を重ねて深い敬意を表す。
三句「天の下」は、天下、国の政をいう。
四句「奏したまはね」の「奏す」は天皇に申し上げる意で、「ね」は願望の終助詞である。大納言として政を奏上なさってほしいと願う。
結句「朝廷去らずて」の「朝廷」は「みかど」と読み、朝廷を離れることなく、と倒置で結ぶ。
みかど:朝廷
まをす:申し上げる。ここでは天皇に政を奏上する
- 作者
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山上憶良(推定)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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言ひつつも後こそ知らめとのしくも 寂しけめやも君いまさずして
- 次の歌
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天離る鄙に五年住まひつつ 都のてぶり忘らえにけり