- 歌の意味
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都から遠く離れた田舎に五年も住み続けて、都の風俗もすっかり忘れてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 880
詞書「敢へて私懐を布ぶる歌三首」
都から遠く離れた田舎に五年住み続け、都の風俗をすっかり忘れてしまったと嘆く一首である。帰京する旅人を送る宴で、自分は筑紫に残される身の心細さを率直に打ち明けている。
題詞の「敢へて私懐を布ぶる」は、あえて個人的な思いを述べるという意で、送別の歌に続けて自らの願いを述べたものである。左注に天平二年十二月六日、筑前国守山上憶良が謹んで奉ったとある。
作者の山上憶良は、大宝元年に任じられた遣唐使の少録として唐に渡った官人で、帰国後は伯耆守や東宮に仕える役などを経て、神亀年間の末に筑前守として筑紫に赴任した。人生の苦しみや家族への情愛、貧しさなど、暮らしに根ざした主題を、漢籍や仏典の教養を背景に詠んだ歌人として知られる。
初句「天離る」は、天の遠くに離れている意から「鄙」にかかる枕詞である。
二句「鄙に五年」の「鄙」は都から遠い田舎をいい、筑紫での年月を示す。
三句「住まひつつ」は、住み続けて、の意で、長い年月の重みを表す。
四句「都のてぶり」の「てぶり」は風俗、習わしのことで、都の洗練された暮らしぶりをいう。
結句「忘らえにけり」の「え」は自発の助動詞、「けり」は詠嘆で、自然と忘れてしまったと嘆いて結ぶ。
ひな:都から遠く離れた土地、田舎
てぶり:風俗、習わし
- 作者
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山上憶良
- 出典
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万葉集
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万世にいましたまひて天の下 奏したまはね朝廷去らずて
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かくのみや息づき居らむあらたまの 来経行く年の限り知らずて